inserted by FC2 system












リヴァイさんは騎乗位が好きだ。
リヴァイは普段穏やかに笑うエレンの顔を見上げるばかりだ。そんなエレンを泣きじゃくらせて、快感にどろどろに溶けた瞳を見るには騎乗位はもってこいで、彼女の自尊心は大いに満足する。確かにエレンを見下ろす彼女はいつも楽しそうにしているので、エレンも彼女の楽しみを奪うつもりはない。
そんな彼女のここ最近の趣味は、専らエレンの乳首開発だった。
つい三か月ほど前まで、リヴァイはエレンのアナル開発に情熱を燃やしていた。クリスマスプレゼントにディルドを贈られた時は内臓が飛び出すほど驚いたが、初めて恋人と過ごす聖夜に、そのまま処女を喪失してしまったことには内臓が飛び出すどころの騒ぎじゃなかった。それから順調にリヴァイは調教を積み重ね、ついには三か月前、エレンはペニスに触れなくても達することができるという不名誉な偉業を成し遂げた。エレンの身体はすっかりリヴァイの手によって作り変えられてしまったのだった。
こんな身体になるなんて、一年前の自分は想像だにできなかっただろう。性に関して淡泊だったエレンの身体は、今やすっかり快楽に弱い。セックスは苦痛なものと勘違いしたエレンの仕出かした数々の仕打ちを、リヴァイはまだ許すつもりがないようで、あらゆる快楽という快楽をエレンの身体に直接教え込んでくる。甘い責め苦にエレンは身悶えるしかない。
今回始まった乳首開発もその一環で、目標はエレンが乳首の刺激だけで射精することだという。先は長い。

土曜日のまだ昼過ぎだというのに、初夏を間近に感じさせる六月の燦々とした陽気が降り注ぐリビングで、そのソファの上で、エレンは喘がされている。ベッドの上ででもない。日常を過ごすはずの部屋で、本来セックスで使われるべきでないソファの上で行われる性交を、当然エレンが好むはずがない。一度ソファでやらかしてしまえば、以後ソファを目にする度にその時の痴情を思い出して恥ずかしい気持ちになるのは、想像に難くない。だから嫌だったのに。全部承知の上で、リヴァイは無体を強いるのだ。
「ひゃあ、あぁ…!」
素直に声を出すことは、セックスの際にリヴァイがエレンに課したルールの一つだ。一度恥ずかしさについ唇を噛んでしまったら、それを目ざとく見つけたリヴァイが声を出すよりも恥ずかしいことをエレンに強要してきたので、以来エレンはこのルールに従順だ。快楽も過ぎれば苦痛に変わるのだと、エレンはその時初めて知った。そしてその甘美な痛みは、リヴァイの持論通り躾にはよく効いた。
「も、やらっ…! やめっ」
テレビもつけられていない室内で、エレンの高い声はよく響く。
ディルドに始まりアナルプラグ、ローター、バイブ、アナルパール、着実に増えていくリヴァイのコレクションは、ベッドサイドのラックの中に整頓されて保管されている。その中から一つ、リヴァイのお気に入りのバイブを今エレンは尻に入れたままだ。微かな振動が酷くもどかしい。尻も、ましてやペニスへの愛撫もおざなりにして、リヴァイが熱心に可愛がっているのは乳首だった。
舐められしゃぶりつくされたエレンの乳首は、真っ赤に立ちあがっている。リヴァイは何も言わない。というより乳首を舐めるのにすっかり夢中で、何も言う暇がないのだ。
「いたい…! も、いたいからっ…、やらぁ…!」
熱を持った乳首はじんじんと痛い。ありのままを訴えるのに、リヴァイに慈悲はない。歯を立てられてエレンは泣き叫んだ。
涙は止まることなくエレンのこめかみを濡らしていく。セックスをするようになってから、エレンはすっかり泣き虫になっていた。
「やだ…! やだぁ! リヴァイさん!」
縋るように名前を呼ぶと、やっとリヴァイは顔を上げた。
「やだしか言えねーのか。チッ、まだまだだな」
言葉とは裏腹に、リヴァイは酷く嬉しそうだった。楽しいことは長く続くほど良い。
「今日はこれくらいにしといてやるよ」
緩く勃ちあがったエレンのものを何度か強く扱いて完勃ちにさせると、リヴァイはそのまま腰を落とそうとしてくる。
快楽に溶けた頭の中で危険信号が鳴る。エレンは快感に震えた手でリヴァイの腰を掴み、力のない手に無理やり力を込めてその華奢な腰を押し留めた。
「待ってリヴァイさん、ゴム、ゴムするから」
先ほどまで気持ちよさに潤んでいた目が、今ははっきりと理性の光を宿している。リヴァイは舌打ちして、エレンが慣れた手つきで避妊具を装着するのを見ていた。
エレンとリヴァイのセックスの際の数あるルールの内で、エレンがリヴァイに頼んだのは一つのことだけだった。
コンドームをつけること。
声を出すことも、日常を送るリビングのソファで行為に及ぶことも許すエレンの、たった一つの譲れないことだった。
しかしリヴァイは事あるごとにコンドームなしのセックスを進めてこようとする。エレンは溜息を禁じ得ない。一応リヴァイも行為後にピルを服用しているのだが、それだけでは確実ではないのが女の身体だ。
エレンはリヴァイを妊娠させるつもりがない。
リヴァイはこの春、無事に大学を卒業して立派なキャリアウーマンとなった。しかしまだまだぺーぺーの社会人であることに変わりはない。対してエレンはまだ学生で、この前やっと大学二年に進級したばかりだ。経済的にも、精神的にも子供を持つ余裕はない。何より妊娠をすればリヴァイにかかる負担など明らかで、それはエレンの望むところではない。エレンがリヴァイの将来を憂える一方で、当のリヴァイがその将来を蔑ろにしようとすることは、エレンにとって遺憾だった。しかし自分が制せばリヴァイが強引に事を進めてくることはないので、快感に思考をとろかせながら理性を保つことが今のエレンの精一杯だ。エレンが止めなければ、リヴァイは簡単に避妊具なしのセックスを受け入れるだろう。それだけは回避したくて、エレンは今日も必死に理性を繋ぎ止める。今のところ、まだ一度も間違いは犯していない。
「ん、ああっ…!」
ゴムをつけたペニスにリヴァイが埋まってゆく。そういえば解していなかったな。リヴァイの中は十分に濡れてはいるが、いつもより狭い肉の輪に締め付けられて、額に汗が滲む。 深くまでエレンを咥えこむと、リヴァイは慣れた様子で腰を揺らしてゆく。ペニスへの刺激と、尻に埋まったバイブの単調な動き。翻弄されるままに、エレンの思考がとろとろと落ちていく。
過ぎた快楽を享受しながら、どこか近くで子供が遊びはしゃいでいるのだろう、笑い声が聞こえた気がした。







だいたい土曜日はセックスしてます






2013/6/29
inserted by FC2 system